
看護師の前残業って当たり前でしょ?仕方ないよね。

もちろん、減らしたり無くせるもんならそうしたいけどさ…

私が看護師になりもうすぐ10年目となりますが、前残業については新人時代と比べると徐々に問題視されてきました。
本記事では、看護業界に根深く蔓延っている【前残業】の文化について、原因や改善策について考えてみました。
- 看護師が前残業をする理由
- 看護師の前残業の実態とは?
- 前残業と時間外手当について
- 看護師の前残業改善例【体験談】
前残業のない職場に行きたい方は、事前に前残業の有無を確認してから転職しましょう。

転職条件を伝える時に、「前残業なし」を希望している事を伝えて下さいね!
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看護師の「前残業」とは?

前残業って、何のこと?
そもそも看護師の前残業とはどの時間を指すのでしょうか。
この「前残業」という言葉は、ここ数年で急浮上してきたワードでもあるため、聞き馴染みのない方も多いかもしれません。
始業前の情報収集や準備にかける時間
看護師の前残業とは、始業時間より前に出勤して情報収集や勤務開始に向けた準備をする時間を指します。
日勤が8時30分始業の職場であれば、情報収集のために8時に出勤、慣れていない方であれば1時間前の7時30分ごろに出勤する場合もあるでしょう。
情報収集に限らず、日勤で投与する点滴の準備や、内服の準備を行う時間でもあります。

もちろん、日勤のみではなく夜勤の始業前の情報収集等も「前残業」ですね。
看護師が前残業をする理由とは?


そもそも、なんで「前残業」なんて業務が発生するの?
看護師が前残業をしている理由は大きく分けて4つあります。
- 情報収集のため
- 皆早く来ているから
- 職場のルールになっているから
- 前残業をしなければ後残業になるから
詳しく説明していきます。
情報収集のため

8時30分から始業だから、それまでに情報取らないと仕事が始められない!
多くの看護師は、情報収集のために前残業を行っています。
8時30分など、決められた始業時間から業務が開始できるよう、患者情報を把握する必要があるからです。
私も数年前までは、始業時間までに情報収集を終わらせるのが当たり前と思い、同じように情報収集をしていました。

今では、業務改善により、この前残業による早めの出社は大幅に減らすことができています。
みんな早く来ているから

外来だから情報収集はしなくていいんだけど、先輩達も早く来てるから…
情報収集を必要としないような部署であっても、この理由で早く来ている方もいるでしょう。
職場が「早く出勤して当たり前」という雰囲気であれば、その中で自分1人だけ始業時間ピッタリに出勤するのは難しいでしょう。
職場のルールだから

30分前には出勤するように決まってるんだけど。
前残業を「規則化」しているような、まずい職場もあります。
「なんとなく自主的に早く出勤している」方が多数ですが、職場によっては前残業をルールとし、職員を強制的に始業前に出勤させているパターンもあります。
こんな職場は、言わずもがな「ブラック」ですので早めの転職をお勧めします。
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前残業をしなければ後残業になるから

ぴったりに来てもいいんだけど、その分普通に残業になっちゃうんだよね…
職場のルールでもなく、情報収集をする必要もないのに、前残業をする場所も一定数あります。
その理由が「後残業を回避するため」です。
残業を先にするのか、後にするのか、結局のところ労働時間としては変わらないのかもしれませんが、「早く帰りたい」と思う方が多いでしょう。
そういった方が、あえて前残業を選んでいるのです。
看護師の前残業の実態とは?

理由は色々あるんだね。実際はどんな感じでみんな働いてるの?
私も新人で勤めた場所や、現在の職場に転職してしばらくは前残業を行ってきました。
その経験から、看護師の前残業の実態について解説していきます。
- 始業30分~1時間に出勤
- 前残業が「当たり前」の雰囲気
- ギリギリに来ると白い目で見られる
- 若手は早めに出勤する暗黙ルール
始業30分~1時間前に出勤
情報収集のために前残業する方は、30分前に出勤する方が多いです。

新人看護師さんや、転職したばかり・異動したばかりの看護師さんは、1時間前に出勤することも珍しくありません。

情報収集にも慣れてないから、時間がかかるんだよね。
この時間の中には、情報収集のみでなく以下のような業務も含まれます。
- 投与する点滴の準備
- 内服薬の準備
- 手術前の準備・確認
- チーム内の情報交換
など、準備しておけば業務がスムーズに進むような段取りを行っています。
前残業が「当たり前」の雰囲気

始業前30分に情報収集するのは、当たり前でしょ?他の病院は違うの?
新人看護師として入社した職場が、情報収取のために前残業をしていれば、「前残業は当たり前なんだ」という考えになるのは自然です。
そこで長く勤める人が多ければ多いほど、「当たり前」という雰囲気は強くなります。
中途入職者が来たとしても、その当たり前の雰囲気が強すぎると、「前残業を無くそう」という気持ちになるのは難しいです。

私も前残業のない職場から、前残業のある職場に転職しましたが、慣れない環境の中でそれを発信するような勇気はありませんでした。
ギリギリに来ると白い目で見られる

あの人、いつも始業ギリギリにしか来ないんだけど!
始業ギリギリに出勤しても、仕事に支障がなければ問題ないと私は思います。
しかし、「前残業が当たり前」と思っている層は、何かしらイチャモンを付けてきます。

「前残業=正義」とでも思っているかのように、早く来る事を推奨している層がいることも事実です。
そういった人たちに目を付けられないために早く出勤する、という事態も起こってきます。
若手は早めに出勤する暗黙ルール
- 新人看護師→1時間前出勤
- 3年目以降→30分前出勤
- ベテラン看護師→5分前出勤
など、経験年数で出勤する時間に差がある場所もあります。

私も新人看護師時代は、1時間前である7時30分ごろに出勤し情報収集を行っていました。
情報収集に時間がかかるといった理由ももちろんありますが、それよりも「新人は早く来てなんぼ」というような暗黙のルールを感じていたためです。
2年目、3年目になるにつれて徐々に出勤時間は遅くなっていきましたが、それでも30分前には必ず出勤していました。
看護師の前残業は時間外手当請求できる?


「前残業」っていうくらいだから、せめて手当は出るよね…?
前残業の時間外手当請求について、看護協会が調査したデータがこちらです。
時間外労働として扱っているか | 割合 |
---|---|
時間外労働として扱わない | 62.9% |
時間外労働として扱う | 21.5% |
前残業の実態はない | 12.4% |
無回答 | 2.6% |
わからない | 0.6% |
実に6割強の病院で、前残業がサービス化されている事が分かります。

1日30分、前残業をした場合1ヶ月(20日出勤)で600分(10時間)。
時給2000円としても約2万円…。
この月2万円ものサービス残業を、これからも続けると考えたら恐ろしいですよね。
気づいた方は、すぐにでも前残業のない職場へ転職する事をお勧めします。
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看護師の前残業を減らす業務改善例


このままサービス前残業なんて御免だよ!
転職より前に、何か出来る事はないの?
いま勤めている職場は、私が転職してすぐの頃は「前残業」を行っていました。
しかし病院全体で「前残業廃止」に取り組んだため、前残業を実質ゼロにできるシステムに変更することができました。
実際に行った業務改善例についてご紹介します。
- 朝礼の開始時間を変更する
- 申し送りを廃止・短縮する
- 早出勤務を作る
一つずつ詳しく説明していきます。
朝礼の開始時間を変更する
私の病院は日勤の始業が8時30分であり、その時間に朝礼(=全体申し送り)を始めていました。
それまでに情報収集を完了させなければならないので、前残業が必須な状態です。
そこで、「日勤の始業時間=朝礼(全体申し送り)開始時間」となっていることが前残業の原因の1つであると考え、朝礼の時間を15分遅らせることに。
現在、朝礼は8時45分から開始しています。
日勤の始業時間である8時30分に出勤し、朝礼開始までの15分を情報収取の時間としています。

15分じゃ足りないよ!
と、私も最初は思っていましたが、慣れると15分で情報を取るワザが身に付きます。

短時間で必要な情報を取るスキルも身に付くので、前残業廃止と合わせて一石二鳥だと感じています。
申し送りを廃止・短縮する
ここで言う申し送りは、部屋持ち看護師が個人同士で行っている申し送りの事です。

いやいや、申し送り廃止は流石に無理でしょ。
そう思っている方、実は時間を無駄にしているかもしれません。
その情報は、必ず口頭で言わなければならない情報でしょうか?
記録に書いている事をさらに口頭で申し送っている場合もありますよね。
「全ての情報は記録を読めば完結する」ようにすれば、申し送りを廃止する事ができます。

もしくは、記録が追い付いていない内容だけ口頭で申し送るなどすれば、申し送りの時間を短縮することができますよね。
「申し送りは必須」という先入観に捕らわれず、業務改善のひとつとして申し送りの撤廃を試してみるのもアリです。
私も、業務改善として申し送りが撤廃になりましたが、その後も大きなミスなく働けていました。

次の勤務者が知りたい情報を、記録で読み取れるようにする工夫が必要ですね。
早出勤務を作る

朝礼の時間が遅れたら、その分日勤の稼働時間も遅くなるんだよね…。
8時30分から9時までが手薄だよね。
8時45分から朝礼開始となれば、9時ギリギリまでは日勤は朝礼に参加するため動けません。
その間のナースコールや、回診の介助、9時のオペ出しなど夜勤で対応するには限界があります。
そこで、「早出勤務看護師」がいれば、夜勤・日勤それぞれのフォローが可能です。
勤務形態に関する問題なので、師長の判断にもなりますが早出勤務は朝礼時間や、引継ぎの時間帯にとても重宝します。
前残業をすぐに辞めたい看護師は転職あるのみ

あれやこれや、業務改善するのって大変そうだし、そこまでココで頑張る気ないよ…
業務改善はとても大変です。決め事を作り、それに順応するのにも時間がかかります。
その労力がもったいない、時間が惜しい、すぐに前残業を辞めたい、そんな方は転職がベターです。
現在の私の病棟のように、前残業を行っていない職場もありますが、まだ数としては少ないです。
それよりも、以下のような前残業の必要がない職場で働く事をお勧めします。
- 外来のみのクリニック
- デイケア、デイサービス
- 訪問看護
- 介護施設
- 健診センター

病棟から離れるだけで、前残業は驚くほど激減します!
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まとめ:前残業は改善させるか、転職するか!
前残業は業務改善次第で、無くすことは可能です。
しかし、そこに辿り着くまでには病棟全体での行動変容や意識づけが必要なので、簡単ではありません。
すぐにでも前残業から卒業したい方は、転職が一番手っ取り早いです。
転職活動中、気になった職場の「前残業」の有無については、なかなか求人票には載らないため、看護師転職サイトを利用する事をお勧めします。
転職サイトを利用することで、「前残業のない職場」を担当アドバイザーに探してもらえます。

朝の1分1秒はとても大切です。その時間を前残業のためでなく、ご自身のために使えるような職場に出会える事を応援しています!
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